あなたの優しさが…
あれ。叩かれない。
恐る恐る目を開けると
目を見開いて驚いている男と
投ろうとした男の腕を掴んでいる
大東さんがいた。
「どうして…」
大東さんがいることに、驚いた。
大東さんは、男の腕を離し
『勝手に抜け出すなんて…』
呆れた声と怒ってる声…
「ごめんなさい…」
『あ…あなた様は…桐生組の大東様…』
男は冷や汗をかきながら、後ずさりをした。
『ほう。私を知っているんですか』
いつもの大東さんではなかった。
いや…私の知らない大東さん。
『申し訳ありません、この女は沢田組の…』
そう言い始めると
『美咲は俺の女だ』
後ろから、抱きしめられた。
雅樹だ。
そう思ったら涙が出そうになった。