あなたの優しさが…
男は雅樹を見るなり顔が青ざめていく。
『…あ、あなた様は…き…桐生組の若』
男は慌てながらも説明をしようとした
『ですが、この女は沢田組の娘でして…』
すかさず大東さんが言葉をかぶせた
『娘?沢田には戸籍上、娘などいませんよ。もちろん、そこの女も沢田と全く関係ない』
『愛人の分際で、自分がダメなら娘。娘がダメなら金。呆れてしまいます』
そう言い終わると、大東さんはどこかへ電話をした。
私が知らない話だった。
母は沢田組の人の愛人だったんだ。
一人ヒステリックになっていた母が
『何びびってんのよ!早く連れてくわよ』
男に言い出した。
男はますます青ざめて
『申し訳ありません』と土下座までした
そこに1台の車がきた。