あなたの優しさが…
試験
大東さんの話は雅樹の実家のことだった。
雅樹は桐生組の若頭。
桐生組のは雅樹の実家。
組長はお父さん。
姐さんがお母さん。
雅樹は一人っ子。
雅樹は跡取。次期組長。
実家には組員さんが一緒に暮らしている。
雅樹と私が住んでいるマンションは
組のマンション。
下の階に大東さんと、もう一人の側近の方…雅樹の運転手さん。
その下にも組員さんが暮らしている。
沢田組のこともあり、組長や姐さんの耳には私の事が知れていると。
そして、雅樹が私の事を本気だということも…
私は雅樹を見た。
『…今まで女が居なかったわけじゃねぇ…ただ、まともに付き合ったことがねぇ。付き合う前に終わるからな…』
不思議に思うと、大東さんが補足してくれた。
雅樹に女が寄り付くと、雅樹のお母さんが排除すると。
自分の目で見て、確かめてから雅樹に合うかを見定めると言う。
『俺の知らないところで、お袋は動くから、いつも俺は何もできないでいた…けど…お袋の目は確かだ…』
大東さんが言うには、近づいてくる女には地位や金が目当て、雅樹のことをちゃんと見ていない。
「お母様は、雅樹と桐生組の事を守ろうとしたんだね…凄いね!」
そう言うと雅樹と大東さんが、不安そうに私を見る
『美咲さん…姐さんはあなたの存在を知っています。』
その言葉に、ゾッとした。