あなたの優しさが…

マンションへ向かう。

雅樹はご機嫌ななめ。


本家に住むことが嫌みたい。

みんなで楽しく住めると思うと

私はワクワクしていた。


部屋に戻り、荷造りしようとしたら


『美咲は、そんなに俺と2人が嫌か』

な…なんで、そういうの?

『本家で暮らすのが、そんなに楽しみか』


雅樹はすねていた。


そんな雅樹が可愛い。


だから、雅樹に

「私は雅樹がいたら、どこだって構わないの。けどね…家族がいない私は、家族に憧れがあるの…雅樹がいて、ゆかりさんがいて…樹さんがいて…」


「だから、ちょっとウキウキしちゃった。雅樹の気持ちを考えないで…ごめんなさい…今まで通り、ここで暮らそう」


そう言いながら、私は初めて自分から雅樹に抱きつき、チュっとキスをした。
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