二人のプリンセス
第二章
ドリアス王国の首都ルタイル。


国王アグレラ・リバルは明日催される、愛娘クレスの十五の誕生祝賀会のことで朝からそわそわしていた。
明日が待遠しくてしょうがなかった。


愛娘クレスの十五の誕生祝賀会。

それはクレスが生まれて始めてドリアス王国の国民の前に姿を見せるというお披露目式でもある。


このドリアス王国には幾つかの仕来たりが存在した。

その一つに、王家に生まれた姫は十五の誕生日までその姿を国民の前にさらしてはいけないとある。

つまり、十五年間も籠の中の鳥のように手塩に掛けて育てられるわけである。

明日でクレスが生まれて十五年。

明日の祝賀会は国中総出で行われる。
それは賑やかなものになる。

国民の間でもまだ見ぬクレスについては様々な噂が飛び交っている。

クレスは王家の幻の美少女とされていた。
< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop