二人のプリンセス

「どうして私は仲間に入れてくれないの？」



あれは……私。
これは私の記憶……。



「やめて!!」
とっさに大声を上げるとアクアは耳をふさぎ、しゃがみ込んだ。
もう目にいっぱい涙をため、今にもこぼれ落ちてしまいそうだった。



「だってアクアちゃんは悪魔だもん」
栗色の髪の毛を綺麗に結った少女は、可愛いらしく笑いながら続けた。
「私お母様に言われたの。アクアちゃんと遊んだりなんかしたら、悪い子になっちゃうって……ねぇみんな。あっちで遊ぼうよ」
その少女がそう言うと、みんな従うようにどこかに行ってしまった。

「あ、待って……」
一人残された黒髪の少女は、肩を震わせながら泣き続けていた。



何もかも思い出していた。
もう遠い昔に忘れ、閉まっていたはずの記憶がよみがえる。

あの少女は私。

よみがえる記憶の中でアクアはつぶやく。
その時、激しい頭痛と耳鳴りがアクアを襲った。

「っく……」
それは声にならない叫びだった。