私と君の足跡
学校に行かなくなって
何ヶ月か経ったある日、
私の住んでいるアパートの隣の部屋に
引っ越してきました
私は外がいつもより
少し騒がしいことに気づいて
外に出てドアの前に立って様子を見ていました
仲のよさそうな家族でした
その中にお姉さんと思われる人と
一緒に立っている男の子と目が合いました
彼は家族に
『あの子と話してくるから先に入ってて』
と言い、私に近づいてきました
『こんにちは』
人懐っこい笑顔を浮かべた彼は
私より20cmくらい身長が高かった
(この時私は120cmくらいです)
そして俗に言う「イケメン」でした
(まだ顔つきは幼かったですけどね)
私はどうしていいか分からず、
とりあえず頭を下げました
『俺、崎本雅(サキモト ミヤビ)
よろしく』
私も自己紹介したかったけど
声は出ません
だからおろおろして情けない姿を
彼の前で晒してしまいました
『喉痛い?』
私は首を傾げました
『喉痛いと声出ないでしょ?
だから痛いのかなって』
違うよ
その意味を込めて首を横に振りました
『そうなの?
どうしたの?』
声が出ない
と口パクで彼に伝えました
『声、出ないの?』
そう言った瞬間彼は私の左腕を優しく掴んで
来ていたパーカーの袖を少しまくりあげました
私は誰にも気付かれないように
リストカットをしていました
でも彼はなぜか分かってしまったようで
すぐにバレてしまいました
『!』
呼吸が荒くなるのを感じてその場に座り込みました
すると彼は私の隣に座って
ゆっくり背中をさすってくれました
『ごめんね、怖かったよね
ゆっくり息しよう?』
過呼吸寸前の私を落ち着かせるように
私を抱きしめて背中を優しく叩いてくれる
彼は、まるで母親のように優しかった
時間が経って私が落ち着きを取り戻すと、ちょっと待っててと言い、引っ越してきた部屋へ入って行き
しばらくして出てきました
『俺の部屋おいでよ
お隣同士仲良くなりたいし』
今思えば随分大胆な子だと思います
でも私は久しぶりに感じた優しさが
嬉しくて彼に着いていきました
『おいで』
おじゃまします
そう口パクで言って彼の部屋へ入りました
男の子らしい部屋でした
黒っぽい家具に、ポケモンとかガンダムとか
いろんなフィギュアもありました
『ここ座って』
そう言って勉強机の椅子を引っ張ってきて
私を座らせました
なんて紳士的なんでしょうかね(笑)
『さっきはごめん
いきなりだったから
びっくりしちゃったよね』
大丈夫
(※以後口パクのところはこのように書きます)
『……なんか嫌なことあったんだよね』
『俺も前、声が出なかった時があった
……虐められてね…
リストカットもしてたよ』
明るい彼からは想像もできないような
言葉に私は驚きました
『その時はみんなが支えてくれたから
元気になれた』
『だから僕が元気にしてあげるね』
嬉しかった
だから何年ぶりかに私は
泣きました
『我慢しなくていいから
いっぱい泣いて』
彼に抱きしめられながらたくさん泣きました
会って間もない私を抱きしめる彼は
大胆な人だと思いつつも彼の
優しさに甘えていました
しばらくして彼が一言
『名前聞いてなかった』
私は彼の差し出したノートに
「中尾 桜」
と書きました
『桜ちゃんか!
綺麗だね
よろしく、桜ちゃん』
そしてまた人懐っこい笑顔を浮かべました
何ヶ月か経ったある日、
私の住んでいるアパートの隣の部屋に
引っ越してきました
私は外がいつもより
少し騒がしいことに気づいて
外に出てドアの前に立って様子を見ていました
仲のよさそうな家族でした
その中にお姉さんと思われる人と
一緒に立っている男の子と目が合いました
彼は家族に
『あの子と話してくるから先に入ってて』
と言い、私に近づいてきました
『こんにちは』
人懐っこい笑顔を浮かべた彼は
私より20cmくらい身長が高かった
(この時私は120cmくらいです)
そして俗に言う「イケメン」でした
(まだ顔つきは幼かったですけどね)
私はどうしていいか分からず、
とりあえず頭を下げました
『俺、崎本雅(サキモト ミヤビ)
よろしく』
私も自己紹介したかったけど
声は出ません
だからおろおろして情けない姿を
彼の前で晒してしまいました
『喉痛い?』
私は首を傾げました
『喉痛いと声出ないでしょ?
だから痛いのかなって』
違うよ
その意味を込めて首を横に振りました
『そうなの?
どうしたの?』
声が出ない
と口パクで彼に伝えました
『声、出ないの?』
そう言った瞬間彼は私の左腕を優しく掴んで
来ていたパーカーの袖を少しまくりあげました
私は誰にも気付かれないように
リストカットをしていました
でも彼はなぜか分かってしまったようで
すぐにバレてしまいました
『!』
呼吸が荒くなるのを感じてその場に座り込みました
すると彼は私の隣に座って
ゆっくり背中をさすってくれました
『ごめんね、怖かったよね
ゆっくり息しよう?』
過呼吸寸前の私を落ち着かせるように
私を抱きしめて背中を優しく叩いてくれる
彼は、まるで母親のように優しかった
時間が経って私が落ち着きを取り戻すと、ちょっと待っててと言い、引っ越してきた部屋へ入って行き
しばらくして出てきました
『俺の部屋おいでよ
お隣同士仲良くなりたいし』
今思えば随分大胆な子だと思います
でも私は久しぶりに感じた優しさが
嬉しくて彼に着いていきました
『おいで』
おじゃまします
そう口パクで言って彼の部屋へ入りました
男の子らしい部屋でした
黒っぽい家具に、ポケモンとかガンダムとか
いろんなフィギュアもありました
『ここ座って』
そう言って勉強机の椅子を引っ張ってきて
私を座らせました
なんて紳士的なんでしょうかね(笑)
『さっきはごめん
いきなりだったから
びっくりしちゃったよね』
大丈夫
(※以後口パクのところはこのように書きます)
『……なんか嫌なことあったんだよね』
『俺も前、声が出なかった時があった
……虐められてね…
リストカットもしてたよ』
明るい彼からは想像もできないような
言葉に私は驚きました
『その時はみんなが支えてくれたから
元気になれた』
『だから僕が元気にしてあげるね』
嬉しかった
だから何年ぶりかに私は
泣きました
『我慢しなくていいから
いっぱい泣いて』
彼に抱きしめられながらたくさん泣きました
会って間もない私を抱きしめる彼は
大胆な人だと思いつつも彼の
優しさに甘えていました
しばらくして彼が一言
『名前聞いてなかった』
私は彼の差し出したノートに
「中尾 桜」
と書きました
『桜ちゃんか!
綺麗だね
よろしく、桜ちゃん』
そしてまた人懐っこい笑顔を浮かべました