華麗なる安部里奈
第1章 『カシワバアジサイの思い出』
アルバムを広げて
5月下旬の午後。
来月に結婚を控えた私は、ふわふわと空に浮かんでいってしまいそうな自分の気持ちを抑えつける様にして、自分の部屋のベッドに勢いよくバタンと寝転んだ。
少しだけ開いたベランダのドアの隙間から、静かに吹いたそよ風が、庭に咲いた草木の香りを私の鼻にまで運んでくれている。
上半身を起こして、ベランダ越しに庭を眺めると、そこにはあの頃と同じように"カシワバアジサイ"が咲いていた。
私がこのカシワバアジサイという花の名前を初めて知ったのは、幼稚園の年長の時の事だった。
私はその日の事を思い出すと、立ち上がって棚の前まで行き、棚の中にあった『安部 里奈(あべ りな) 幼稚園~小学校』と書かれたピンク色のカバーのされたアルバムに手を伸ばすと、それを持って再びベッドに座った。
来月に結婚を控えた私は、ふわふわと空に浮かんでいってしまいそうな自分の気持ちを抑えつける様にして、自分の部屋のベッドに勢いよくバタンと寝転んだ。
少しだけ開いたベランダのドアの隙間から、静かに吹いたそよ風が、庭に咲いた草木の香りを私の鼻にまで運んでくれている。
上半身を起こして、ベランダ越しに庭を眺めると、そこにはあの頃と同じように"カシワバアジサイ"が咲いていた。
私がこのカシワバアジサイという花の名前を初めて知ったのは、幼稚園の年長の時の事だった。
私はその日の事を思い出すと、立ち上がって棚の前まで行き、棚の中にあった『安部 里奈(あべ りな) 幼稚園~小学校』と書かれたピンク色のカバーのされたアルバムに手を伸ばすと、それを持って再びベッドに座った。