華麗なる安部里奈
「それより、さっきあの男子達が言っていた"赤い鬼熊"って?」

「ん? さぁ、私は知らないね」

そう言うと、またしても老人はニコッと笑う。



泣いていた男の子は、「ありがとう」と小さな声で私達に言うと、そのまま他の同年代の子達が居る砂場のほうへと走っていった。

私はアッちゃんの頭をまた撫でて、アッちゃんが泣き止むのを待つ。



「それじゃあ、私もこれで……。またね」

私達を助けてくれた老人はそう言って私に手を振ると、ゆっくりと歩き始める。


「はい、どうもありがとうございました!」

私が大きな声でお礼を言うと、老人は「はははっ」というような感じで楽しそうに笑いながらベンチのほうへ歩いていった。


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