華麗なる安部里奈
「やめてよ、里奈ぁ……」
アッちゃんは心配そうな顔をして、今にも泣きそうになっていた。私はそんなアッちゃんを無視するようにして、女神像の羽へと手を伸ばす。
「ほら、ここんとこに掴まると大丈夫だよ。テッちゃんもおいでよ」
「俺はやらないよ」
「ふふっ、テッちゃんは弱虫だなぁ」
「お兄ちゃんは弱虫なんかじゃないよ。里奈が悪い事してるだけだもん」
「年少さんは黙ってて!」
アッちゃんに注意された事で少しイラっとした私は、その勢いで女神像へと上り始めた。
しかし、再三に渡る2人の警告通り、噴水中央の女神像に上るというのは無謀な挑戦だった。そもそも、私は腕の力だけで、自分の体重を支える事ができなかったのだ。
それに、足をかけたはずの女神像のお尻部分も、思っていたよりも出っ張りが小さく、何度も足を滑らせた。
足がかからないうえに、手の力だけでも自分の体を支えられない。これでは、女神像に上る事など不可能なのが明らかなのだが、できると言い張ってしまった以上、当時の私としては女神像に上るしかない。
私は無理やり足をかけ、その状態で腕に思いっきり力を入れて、自分の体を持ち上げようとした。
アッちゃんは心配そうな顔をして、今にも泣きそうになっていた。私はそんなアッちゃんを無視するようにして、女神像の羽へと手を伸ばす。
「ほら、ここんとこに掴まると大丈夫だよ。テッちゃんもおいでよ」
「俺はやらないよ」
「ふふっ、テッちゃんは弱虫だなぁ」
「お兄ちゃんは弱虫なんかじゃないよ。里奈が悪い事してるだけだもん」
「年少さんは黙ってて!」
アッちゃんに注意された事で少しイラっとした私は、その勢いで女神像へと上り始めた。
しかし、再三に渡る2人の警告通り、噴水中央の女神像に上るというのは無謀な挑戦だった。そもそも、私は腕の力だけで、自分の体重を支える事ができなかったのだ。
それに、足をかけたはずの女神像のお尻部分も、思っていたよりも出っ張りが小さく、何度も足を滑らせた。
足がかからないうえに、手の力だけでも自分の体を支えられない。これでは、女神像に上る事など不可能なのが明らかなのだが、できると言い張ってしまった以上、当時の私としては女神像に上るしかない。
私は無理やり足をかけ、その状態で腕に思いっきり力を入れて、自分の体を持ち上げようとした。