華麗なる安部里奈

律子ママのお守り

それからまた数日後。
私は夏風邪をひいてしまい、習い事と公園での遊びも含めて1週間ほど床に伏していた。

さすがに1週間も休んでいれば風邪もほぼ治り、外で遊びまわりたい気分になっていたが、母に「まだ寝ていなさい」と言われ、私は部屋で退屈な時間を過ごしていた。

そんな時、私の部屋に律子さんがお見舞いに来てくれたのだ。



「お邪魔します、お嬢様。具合はいかがですか?」

「うん、もうすっかり良くなったんだけどね。お母さんがまだ寝てなさいって。だから私、退屈しちゃって」


「うふふ。そのくらい元気なのでしたら良かった。一応、風邪が速く治るようにと思って、お守りを持ってきたんですけどね」

「お守り?」


「はい、私のお守りですよ」

そういうと、律子さんは手に持っていたピンク色のシュシュを見せてくれた。そして、寝ている私に寄り添うと、私の髪の後ろをそれで束ねる。


「あら、お嬢様もだいぶ髪が伸びましたね」

「律子ママみたいになりたいから……」


「ふふ、もう私と同じくらいの髪の長さですよ」

と律子さんは笑う。そして、そのシュシュについての話をしてくれた。


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