華麗なる安部里奈
9月の半ばになると、私は小西さんにお願いをして調理室を借り、カレー作りを始めた。

野菜を切り、ルーを入れてカレー作りは順調だった。しかし、大切な大切な隠し味のインスタントコーヒーをどれくらいの量入れたら良いかが分からない。あの時テレビのほうを観てしまって、律子さんが実際に入れた量をこの目で見る事ができなかったからだ。

でも、他の人に聞いてしまったらそれは律子さんの味にならないし、今は自分の勘を信じるしかない。私はインスタントコーヒーを"自分なりの適量"入れ、そのままカレーを煮込んだ。



それから1時間もすると、コーヒーの良い香りがする特製カレーができあがった。

私の父と母は今日は仕事で帰らないらしい。そのため、この特製カレーは、テッちゃん達の部屋に運ばれる事になった。


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