華麗なる安部里奈
木でできたしっかりとした作りの扉を私は力いっぱい叩く。
ドンドンドンッ!!!


「テッちゃーーーん! ただいまー!!」

ドンドンッ!!!

「ただいまー!!!」

ドアを叩く大きな音とは対照的に、静かにカチャッとドアが開くと、そこからテッちゃんの小さな顔がこちらを覗く。

「なんだよ、うるさいな」


あまりに大きな音でドアを叩いたせいだろう。私の顔を見るテッちゃんは怪訝そうな顔をしている。それでも、テッちゃんを見つけ出した私は、嬉々とテッちゃんにただいまの挨拶をした。



「ただいまっ! 何して遊ぶ!?」

「ただいま って、里奈の家はここじゃないだろ」


「このお屋敷は私の家だよ!?」

「それはそうだけど……ここは俺んちの家族の部屋だよ」


「そんなのどうだって良いじゃん。同じ家に住んでるんだから。それより、早く遊ぼうよ」

「今、『ドラキュラ時計』を見てるんだよ」


「アニメなんか見てないで、お庭で遊ぼうよー」

「これ見終わったらな」


「じゃあ、終わるまで私も一緒に観る」

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