華麗なる安部里奈
私は、律子さんの事を"律子ママ"と呼んでいた。

それでも、年齢は私の母よりも少し若く、"ママ"というよりも、どちらかというと自分のお姉さんのような感じで接していた。



「お嬢様、元気なのも良いですけど、女の子らしくもう少しお淑やかにしないといけませんよ」

律子さんは笑顔を浮かべながら、私に注意する。


「はーい、ごめんなさい」

律子さんは髪は黒く腰くらいまでの長さがあり、そのさらっとした髪に私は憧れていた。幼稚園の頃はショートカットだったのに、小学校に上がってからは律子さんを真似て髪を伸ばし始めたくらいだ。

顔は女優さんみたいに綺麗で肌は白く、今風に言うならば"大人可愛い"といった印象だ。声も優しく透明感があって、友達のお母さんや他の使用人達にはない彼女から漂うフワフワとした雰囲気が私は大好きだった。

そのため、他の使用人に注意されるといつもイラっとして反抗していた私も、律子さんに注意されるといつも素直に聞いていた。

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