華麗なる安部里奈
「お母さんも、私と一緒に料理を作ってくれる人なら良かったのに……」

「それは仕方ないですよ、お嬢様。お嬢様のお母さんはとっても忙しい人なんですから」


「それはそうなんだけど……」

「今日は私がお母さんの代わりに教えますからね。それで我慢なさってください」

私は自分の母に対する不満をぶつけていたが、律子さんは話をしながら、、三角巾を付ける作業をテキパキと進めた。



「はい、これで大丈夫です。さぁ、始めますよー」

律子さんにエプロンと三角巾を付けてもらった私は、まるで律子さんの娘になったような気分で、律子さんのカレー作りの手伝いを始める。

私が料理を作るという事が心配なのか、それとも興味があるのか。どういうわけかは分からないが、時折テッちゃんは宿題の手を止めて、私のほうを見るために振り返っていた。

アッちゃんはもうアニメに夢中なのか、テレビを見始めてから私のほうなど1度も見ていない。

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