華麗なる安部里奈
私はそんな風にして律子さんに見守られながら、人参１本と玉ねぎ１個を切り終えた。



「お嬢様、なかなか筋が良いですね。ほら、ここの所を見て下さい」

私は律子さんが指差したところを見た。そこには綺麗に切られた人参１切れがあった。


「最初のやつはこれで…」

律子さんは私が最初に切った人参を綺麗に切られた人参の横に並べる。


「ほら、こんなに切り方が違う。後で切ったのは本当に綺麗に、ちょうど良い厚さに切れてますよ」

律子さんがそう言うと、私はとても嬉しくなってはにかんだ。




「最初からこんな風に上手くなったんだから、他のも練習すればすぐにできるようになりますよ」

「うん、私お料理頑張る！！」

私はもう、自分が料理人になれるのではないかと思うくらいに気持ちが昂ぶる。



「それじゃ、他の具材は私が切りますね。次はお鍋にお水を入れて、具を煮ていきましょう」

そう言うと、律子さんは他の具材を切り始めた。

さっき褒められた私は、もう既に律子さんと同じくらいのレベルで野菜を切れていると思っていたのだが、さすがに律子さんの包丁捌きを見ると、私なんてまだまだだなと思った。

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