華麗なる安部里奈
私達3人が手を洗い終えると、テーブルにはサラダとスプーンなどが置かれ、夕食の準備が整っていた。テッちゃんとアッちゃんはいつも座っていると思われる位置に、スッと自然に移動して席に着いた。


「お嬢様はこちらへどうぞ」

私は律子さんが立っていた炊飯ジャーのすぐ横の椅子を引かれたので、そこに座る。


「それじゃ、カレーをよそいますね」

律子さんはそう言うと、まず私のカレーからよそってくれた。


「お嬢様はこれからちゃんとした夕食もあるから、これだけね。旦那様達には内緒ですよー」

そう言うと、律子さんは人差し指を立てて口に当てた。


「うん、分かった!」

私は自分が手伝って作ったカレーライスが食べられるという他に、父に秘密で何かをするというのがなんだか嬉しくて、ソワソワとした気持ちになった。


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