華麗なる安部里奈
「はい、どうぞ」

私の目の前にカレーライスが置かれる。ご飯は２～３口くらいしか入っていないし、ルーもそんなに多くはない。たぶん、律子さんは私が本来の夕食を食べられなくならないようにと、配慮してくれたのだろう。

それでも、湯気の出た温かな白いご飯、その上にかかる野菜たっぷりのカレー、そしてそこから漂うカレーの匂いを嗅ぐと、早くこれを食べたくてしまいたい衝動にかられた。



「はい、哲也お待たせ」

テッちゃんのは普通に子供の一人前といった量のカレーとご飯が盛られている。


「里奈のもこれくらいよそってあげれば良いのに」

テッちゃんがボソッと言う。


「お嬢様はこれから夕食を食べるんだから。それで良いのよ」

律子さんは「余計な事を言うんじゃないの」というような感じで言う。


「はいっ、敦也もお待たせね」

アッちゃんも、小学１年生ながらなかなかのご飯の量だ。カレーライスが大好きというのも頷ける。

私とテッちゃんとアッちゃんの分をよそった律子さんは自分の分のカレーライスもよそう。大人だけど、やっぱり女性だからかそこまで大盛りという感じではない。

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