華麗なる安部里奈
４人のカレーライスがテーブルに置かれ、いよいよカレーライスを食べる時が迫る。

「それじゃ、いただきまーす」

律子さんがそう言うと、テッちゃんとアッちゃんも声を揃えて大きな声で「いただきます」と言ったので、私もそれに声を合わせた。



それから、アッちゃんが勢いよくカレーライスを食べ始める。さすがはカレーライス好き。

テッちゃんはアッちゃんがパクパクと食べる様子を見てから、ゆっくりと食べ始める。私はそんな２人の様子をしばらくの間、眺めていた。



するとそんな私の様子を見て、心配になったのか律子さんが声をかける。

「あら……お嬢様。どうしました？」

「あ、ううん。なんでもないの。いただきますっ」



こんな風に、他の人の家族の所にお邪魔してご飯を食べるという体験が無かった私は、その日常風景のようなものを初めて見たので、少しの間それに見とれてしまったのだ。

それくらい、私はお屋敷の生活に慣れてしまっていて、ごく普通の子供とは、少し違っていたのだと思う。

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