華麗なる安部里奈
私はお皿に残っていた、カレーのルーだけをかき集めてよそうと、それをまた口に運んだ。そんな私の様子を見てテッちゃんが言う。

「お母さん、おかわり入れてあげたら?」

すると律子さんは少し困ったような顔をする。



「んー、そうねぇ。でも、これ以上食べて本当の夕食が食べられなくなったら困るから。今日はここまでね」

その一言を聞き、私は少しガッカリした。テッちゃんも舌打ちをしたが、律子さんが言うのももっともなので、私もテッちゃんもそれ以上は何も言わなかった。


「今度また作りにいらっしゃい」

「ほんと? 良いの?」


「えぇ、もちろんですよ。だけど、その時は作ったカレーを持っていって食べられるように、調理の小西さんに頼んでおきましょうね。そうしたら、夕食の事を気にせずに食べられますから」

「うん! ありがとう、律子ママ!!」

その時、律子さんがそんな風に言ってくれた事が私は本当に嬉しかった。


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