華麗なる安部里奈
「里奈がお父さんに相談なんて珍しいね」
「実は……」
私は、父が"私の将来のために"と、私に習い事をさせる事に力を入れている事を知っていたので、話し出しづらかった。そんな私の様子を感じ取った父は、一旦仕事の手を止めて、椅子を動かしてこちらを向いた。
「あはは、どうした? 今、里奈が思ってる事をそのまま言ってごらん。それをしてやれるかどうかは分からないけど、話はちゃんと聞くよ」
父のそんな言葉に、私は俯いたまま口を開く。
「うん。実はね……私、習い事を減らしてほしいなと思って……」
「習い事を減らしてほしい?」
「うん」
「何か嫌いな習い事でもあるのかな?」
「ううん、そうじゃないの」
「それじゃ、どんな理由だい?」
「お友達ともう少し一緒に遊ぶ時間が欲しくて……」
「お友達と遊ぶ時間か」
「うん」
私が話をすると、父は座っていた椅子をまた机にほうに向けて、しばらく何か考えているようだった。