華麗なる安部里奈
「あぁ、正十郎か?」

電話の相手は正十郎らしい。内線のようだ。


「里奈の習い事についてなんだがね。家庭教師に当てている日を1日削って、そこに金曜日の英語を入れるように、それぞれの担当に伝えてくれないか」

どうやら父は家庭教師の日を1日減らしてくれるらしい。


「うん、それで構わない。話を進めてくれ」

父はそういうと受話器を置いた。そして私のほうを見てこう言った。




「という事だよ、分かったかな? 里奈」

「家庭教師のお勉強が1日少なくなるの?」

「あぁ、そうだよ。それで木曜か日曜に英語の習い事を入れて、金曜は習い事なし。金曜なら、テッちゃん達も休みの前の日で、宿題とかもあまり気にせずに遊べるし良いんじゃないかなと思ってね。木曜と日曜のどちらの勉強を無くすかは、家庭教師の先生の都合を聞いてみてから決めよう。それでどうかな?」

私は跳び上がるくらいに喜んだ。



「うん、ありがとう、お父さん!」

「ただし……」

私がお礼を言うとすぐに父は話を続けた。



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