夢月求道ですけど…なにかぁ?
第五章〔求道 男ぶりを上げる!〕
二日前、求道は
「ここの〜…耳の上の所から、髪が生えてきてぇ…」
…と、何やらボヤいていた。
それにしても…“髪が伸びてきて”なら解るが“生えてきてぇ”って…なんなんでしょ…。
「今年も、あと何日もないから、床屋さんに行っといたら?」
と、うながしてみた。
「…んっ!そうだな!!」
上頬の筋肉をキュッと上げ、笑顔を作っている求道の顔は、幼い、鼻タレ小僧のように見えた。
そして、今日。
床屋さんで髪を切って、男ぶりを上げた求道は、とても御満悦で帰って来た。
…手に何か持っていたようなぁ…
家に入るなり
「床屋の父さんから“太ったんじゃないかぁ〜?って言われたよぉ。あっはは♪」
と、声高らかに笑って言ったのである。