初めてを君と。
思い浮かぶのは、優しく笑う晴輝くんの姿

ダンスしてるときの真剣な眼差し

ピアノを弾いている時の少し困った様な表情

みんなと話をしている時のはにかんだ顔


どれも、たまらなく好き。


言えるなら、大声で叫びたいくらいに。

「好きすぎて、気持ちが溢れそうなくらい。」

「そっか。そんなにくーちゃんに想われてる人は幸せやな。」

「そんなことないよ。気がついてないもん」



「………うらやましい」

「え、???」

「いや、なんもない。ほな、また明日な。」

晴輝くんはこっちを見ることもなく、
帰ってしまった。


私何かしたかな……

もっと一緒にいたかったのにな。

ひき止めたかったけど、
帰り際の晴輝くんの雰囲気が、それをさせなかった。

私は晴輝くんが見えなくなるまで、
その大きな背中を見送った。

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