初めてを君と。
先生たちの気持ちがすごく嬉しくて、また涙が溢れた。

真剣に指導してくれる先生たちを裏切っているような気がして、本当は毎日辛かった。
でも、将来保育士にならなくても、
この実習で出会った先生たちに教えてもらったことは、自分にとって糧になると思った。


涙が止まってから、香織先生と共に職員室に向かうと、すでに園長先生が待っていて、いつもの優しい笑顔で出迎えてくれた。

「クレア先生お疲れ様でした。感想は昼に山野先生から話を聞きました。将来、保育士にならなくても、実習では色んな事を勉強できると思います。来年も、待っていますよ。」


え??

私はポカーンと園長先生を見つめた。
そんな私を見て、園長先生といつの間にか山野先生までがクスクス笑っている。

「クレア先生は有名人ですからね。この町で知らない人はいないでしょう。テレビや雑誌に出たり、駅前で踊っていたり……」

「あの駅前のカフェ、ここの先生や保護者もよく行くんやで?だからクレア先生の事は前からみんな知ってんねん。
駅前通る先生は踊ってるところ見た事あるしね。だから、噂でデビューが近い事も知ってる」


うそ………

私は園長先生や山野先生の言葉に驚いて声が出なかった。

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