初めてを君と。
「ごめん。って、何でうちらに相談してくれへんの?昨日何も言うてなかったやん!」

茜が涙を浮かべて叫んだ。恵理や咲も目に涙を浮かべていて、私はその瞳から逃れようと俯いた 。

駅前なだけあって、行き交う人たちが何事かとチラチラ見てくる。

「まぁ、茜ちゃんも待って。くーちゃん、訳話してくれる?」

いつも冷静な真くんに話すようにと促されて、ポツリポツリと話だした。

「この間、東京に行った時にね、ボイストレーニングやダンスレッスンも見学したの。上には上がいるって実感した。それに、皆すごい気迫で練習してて、なのに、まだまだデビューすら決まってなくて、みんなの迫力に圧倒された。私なんてまだまだ、そう思った。

その後すぐに保育園実習があって、私はやっぱり歌とダンスで生きていきたいって思ったの。このままじゃいけない!って。
もっともっと練習しなくちゃ、上にはいけないし、本格に練習したいって思ったの。

だから、学校やめた。

相談しなくてごめん。

相談したら、みんなのことが大好きだから東京へ行きたくなくなるって思ったから。。。
本当にごめん。」

私は皆に深く頭を下げた。
目からポロポロ涙が溢れて止まらない。それでも誰も何も言わないから、頭を下げ続けた。

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