初めてを君と。

新大阪駅の改札前に着くと、すでに皆が待ってくれていた。その姿が嬉しくて、思わず駆け出してしまって。

「みんな、ありがとう!」

「とうとう行っちゃうのかー。寂しい。。」

恵理の目には涙が浮かんでいる。

「くーちゃん、時間まだあるん?
晴輝、連絡してるんやけど、電話でなくて…」

「あと20分かな。
晴輝くん、電話でないんだね。用事があったのかな……」

「あいつ何してんねん!もう一度電話してみるわ」

私の様子を見て蒼太くんが少し怒りながらスマホを耳にあてた。

しばらくかけたみたいだけど、結局晴輝くんは電話に出ることはなかった。

私の出発を聞き付けたクラスメイトや先生、バイト先の人達も見送りにきてくれて、
プレゼントや寄せ書きをもらったり、写真を撮ったりしているうちに、出発の時刻が迫ってきていた。

「もう行かなきゃ。
みんな本当にありがとう!東京でも頑張るからね!!!!!!皆のこと、忘れない!!!!!!」

私は精一杯の笑顔を皆にむけて、改札をくぐった。

「くーちゃんいってらっしゃい!!!!!!」

みんなからの声を背中にうけながら、新幹線に乗り込んだ。


結局晴輝くんには会えなかった。

晴輝くんは来てくれなかった。
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