初めてを君と。


「あー緊張した。皆の前で演奏するとか、本当にやめてほしい。。。」

恵理が肩を落として溜め息までついている。

午前の授業が終わってお昼休み。
みんなお弁当だから教室で食べる事になった。


「誰と同じグループになるかなー?
優しい先生だといいよね!」
咲がお弁当を開けながら言う。

「本当、優しい先生がいい…」

恵理はまだ落ち込んでいるらしい。


「茜、お弁当!!!!!」
後ろから茜に抱きついてお弁当をねだる蒼太くん。

「わかったから、離れて!」
茜はまた真っ赤な顔をして、鞄からお弁当の包みを渡した。

「さんきゅー!!!!!」

蒼太くんは嬉しそうに笑いながら男の子たちの輪に戻っていった。

「茜、愛妻弁当??いーなー羨ましい!!!!!」

恵理がやっと復活したのか、容貌の眼差しを向けている。

本当羨ましい。。


「なぁ、恵理は彼氏おるん??」
茜が恵理の眼差しに照れながら聞く。

「んー?いるよ。でも年上だし…あんまり会えないから。。」

恵理が寂しそうな表情を浮かべる。

「年上って社会人ってこと??」

私が聞くと、
小さく頷いた。
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