初めてを君と。
「遅れてスミマセン!」

私は後ろのドアから教室に入った。

「あら嘉手納さん珍しいね。遅刻の理由は?」

おばちゃん先生が黒板に文字を書いていた手を止める。

「ピアノの練習をしていて、授業が始まってる事に気がつきませんでした。スミマセン。」

私は先生に謝ってから、席についた。

「学校にはいたのね。わかったわ。」

そう言ってまた授業を進めた。


何をしていても、ボーッとしてしまう。

気になる。

目で宮前くんを追ってしまう。





午前の授業は、ノートは取ったけど、
内容は少ししか頭に入らなかった。



でも、気がついた事がある。



やっぱり、宮前くんは神埼さんの事が好きなのかもしれない。


好きな人の好きな人。


私が宮前くんを目で追うように、

宮前くんも神埼さんを目で追っている。

決して交わることのない視線。


切ないくらいに、

彼の気持ちが伝わる。

神埼さんが隣の席の男の子と話をしていると、

切なそうな表情を浮かべている。


神埼さんが話しかければ、

嬉しそうにはにかむ。

前髪が長いから、
ハッキリと表情は分からないけれど、

彼の雰囲気が神埼さんを好きだと言っているような気がした。
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