初めてを君と。

「あっ…佐藤さんは東京の芸能プロダクションの方みたい。私が前にでたテレビと雑誌見たらしくて……」

私は何だかいけない所を見られたような気がして、焦ってしまった。

「えっ？スカウトってことやんな？」

真くんが興奮して私の腕をつかんだ。

「クレアすごいやん!!!!!クレアは何でもできるもん、芸能界とかすごいやん！！」

「ほんまにスカウトってあるんやな。
俺初めてみたわ。」

茜と蒼太くんまでもが盛り上がっている。
すれ違うひとたちが、何事かとチラチラこちらを見てくるから、恥ずかしくてしかたがない。


晴輝くんは興味がないのか、少し離れた所で事のなり行きを見ている。
それが何故かすごく寂しかった。
私に興味がないって言われてるみたい…

みんなが盛り上がる中、私は一人どう断ればいいか考えていた。


「クレアちゃん、今すぐ返事がほしいわけじゃないんだ。興味がわいたら、すぐ連絡ほしいけど、考えてほしい。ご両親とも相談してみて？君なら絶対に世界中を魅了できるよ。
間違いなくね。」

じゃあ。と佐藤さんは駅の中へと消えていった。