初めてを君と。
私はもらった名刺を手帳に挟んで鞄にしまった。

「くーちゃんすごいわー。デビューしたらサインちょうだいな!今一緒にダンスしてる事すら申し訳なくなるわー。」

蒼太くんが笑いながら言う。

「そんなことないよ!断るし。
私、もうそんな夢は見ないって決めてるから。練習しよ?」

私はiPodを操作して曲を流した。

「なぁ、もうって何?」

急に後ろから晴輝くんに肩を捕まれた。

私はビクッと肩を揺らして振り替える。そこには少し不機嫌な顔をした晴輝くんがいた。

「ホンマは、ダンスでやっていきたいんとちゃうの。くーちゃんのダンスする目とか、振り付け考えてる姿とか、歌の練習してる所とか、
真剣な目してる。趣味とか、そんなんじゃない目してる。」

晴輝くんの目はまっすぐに私を見つめる。

その眼差しが私を見透かすようで、

心の内を読まれそうで、

私は晴輝くんから目を反らした。

「そんなんじゃないから。
ダンスは趣味だよ。前は違ったけど、今は趣味。」

私は、自分に言い聞かせるように呟いた。
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