初めてを君と。
「くーちゃん好きな人いてるんや。いや、普通にイケメンな彼氏おってもおかしくないもんな。せやのに、切ない思いしてるんやな。
でも、好きやのにそう思えるって、ホンマに好きなんやな。」


私は黙って頷いた。

目なんて合わせられない。もし、今晴輝くんを見てしまったら、好きって気づかれてしまうかもしれない。


いつかは諦めないといけないって、分かっているのに、
どんどん、好きになっていく。

晴輝くんを見るだけで惹き付けられる。

これが、惚れてるって事なのかもしれない。


この思いが届けばいいのに…


それから私たちはただ静かに二人で座っていた

駅は最終電車もなくなり、人はあまり通らない。

どこか遠くで誰かが歌っている声が聞こえる。


私もその歌声に合わせて口ずさんだ。



「やっぱりくーちゃんの声、キレイやな。
どんなけ聞いても飽きへんし、
何か心が暖かくなるわ。」

優しく、微笑みながら頭を、撫でられた。
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