年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
4
◇
その日は朝から、絵里ちゃんのご機嫌がナナメだった。
「あ、絵里ちゃん、木田邸の変更手続きの書類……」
「今やってます。今日中には渡すので、急がせないでください」
急がせないでもなにも、昨日までに作っといてって言ったじゃない。
不機嫌に私を睨んだ絵里ちゃんは、そのまま立ち上がってどこかへ行ってしまった。トイレなら仕方ないけど、サボる気ならこの書類だけは先に作って欲しい。
呆然と絵里ちゃんの後ろ姿を見送りながら、思わずなにあれ、と呟くと、後ろからコーディネーターの後輩の明日香(あすか)ちゃんが私の耳元で囁いた。
「昨日、木下さんにすっぽかされたらしいですよ」
それを聞いて自然に眉間に皺が寄る。
……あいつ、あの後絵里ちゃんのところへ行かないで、一体なにしてたんだか。
「なーんか、あんまりうまくいってないみたいですよ、最近。せっかく沙羽先輩からうまいこと奪えたのに、早くも破局か、って噂です」
「そんな噂、知らなかった」
「そりゃそうですよ。そんな話、わざわざ沙羽先輩に聞かせるほど、悪趣味な人間いません」
と言いつつ、明日香ちゃんは今ばっちり教えてくれているんだけど。
その日は朝から、絵里ちゃんのご機嫌がナナメだった。
「あ、絵里ちゃん、木田邸の変更手続きの書類……」
「今やってます。今日中には渡すので、急がせないでください」
急がせないでもなにも、昨日までに作っといてって言ったじゃない。
不機嫌に私を睨んだ絵里ちゃんは、そのまま立ち上がってどこかへ行ってしまった。トイレなら仕方ないけど、サボる気ならこの書類だけは先に作って欲しい。
呆然と絵里ちゃんの後ろ姿を見送りながら、思わずなにあれ、と呟くと、後ろからコーディネーターの後輩の明日香(あすか)ちゃんが私の耳元で囁いた。
「昨日、木下さんにすっぽかされたらしいですよ」
それを聞いて自然に眉間に皺が寄る。
……あいつ、あの後絵里ちゃんのところへ行かないで、一体なにしてたんだか。
「なーんか、あんまりうまくいってないみたいですよ、最近。せっかく沙羽先輩からうまいこと奪えたのに、早くも破局か、って噂です」
「そんな噂、知らなかった」
「そりゃそうですよ。そんな話、わざわざ沙羽先輩に聞かせるほど、悪趣味な人間いません」
と言いつつ、明日香ちゃんは今ばっちり教えてくれているんだけど。