年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
5
◇
久しぶりに二人揃ってシェリーのドアをくぐると、カウンターの中のマスターが、意外そうに片眉を上げた。
「どういうことになってんのか、ついていけないんだけど」
また珍しく、驚いた顔が見られた。ちょっとだけ得した気分。
「残念ながら、ヨリが戻ったとかじゃないですよ」
私は苦笑を返して、左から二番目に座る。祥裄は一番左だ。
左利きの祥裄と食事をする時の、指定ポジション。
「お腹減ってるんで、お酒じゃなくてなんか食べさせてください。オムライス希望」
「じゃあ俺はパスタで。あとなんか適当に出してください」
基本はバーなのであまり知られていないけれど、マスターの作る料理は美味しい。常連になればこちらの希望のものを作ってくれる。昔、どこかのレストランで働いていた経験があるらしい。
了解、と頷いて、私にはすぐに水を出してくれた。
空腹でアルコールを飲むと私がすぐに潰れることをマスターは知っていて、お腹減った、と申告した時は最初にお酒を出すことはしない。祥裄はビールを注文する。
一緒に差し出された二つのおしぼりを受け取って、一つを祥裄に渡す。
「なあ、お前、昨日荷物全部置いてっただろ。帰れなかったんじゃないの?」
「このカッコ見たらわかるでしょ。友達の家に泊めてもらいました」
「友達って男?」
「女。男友達なんていない」
なぜだか咄嗟に嘘をついてしまった。
大輔くんは私にとってなんていうカテゴリーになるのだろう、とふと思う。
友達? 担当美容師? 仕事仲間?
どれもしっくり来なかった。ただの知り合い、が一番正しい気がする。
久しぶりに二人揃ってシェリーのドアをくぐると、カウンターの中のマスターが、意外そうに片眉を上げた。
「どういうことになってんのか、ついていけないんだけど」
また珍しく、驚いた顔が見られた。ちょっとだけ得した気分。
「残念ながら、ヨリが戻ったとかじゃないですよ」
私は苦笑を返して、左から二番目に座る。祥裄は一番左だ。
左利きの祥裄と食事をする時の、指定ポジション。
「お腹減ってるんで、お酒じゃなくてなんか食べさせてください。オムライス希望」
「じゃあ俺はパスタで。あとなんか適当に出してください」
基本はバーなのであまり知られていないけれど、マスターの作る料理は美味しい。常連になればこちらの希望のものを作ってくれる。昔、どこかのレストランで働いていた経験があるらしい。
了解、と頷いて、私にはすぐに水を出してくれた。
空腹でアルコールを飲むと私がすぐに潰れることをマスターは知っていて、お腹減った、と申告した時は最初にお酒を出すことはしない。祥裄はビールを注文する。
一緒に差し出された二つのおしぼりを受け取って、一つを祥裄に渡す。
「なあ、お前、昨日荷物全部置いてっただろ。帰れなかったんじゃないの?」
「このカッコ見たらわかるでしょ。友達の家に泊めてもらいました」
「友達って男?」
「女。男友達なんていない」
なぜだか咄嗟に嘘をついてしまった。
大輔くんは私にとってなんていうカテゴリーになるのだろう、とふと思う。
友達? 担当美容師? 仕事仲間?
どれもしっくり来なかった。ただの知り合い、が一番正しい気がする。