年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
バイトの男の子が祥裄のビールとサラダを持って来てくれた。
取り分けて皿を渡して、しばらくの間無言で食べる。
何を話していいのか、お互いに迷っているような気がした。
「……今度、カフェの内装やるんだろ?」
先に沈黙を破ったのは祥裄だった。
「さすがやり手の営業、話を聞きつけるのが早いね」
「たまたま小川さんから聞いたんだよ。良かったじゃん。ずっとやりたがってたもんな」
「ふふ、ありがと。まあちょっと、最近頑張ってるという評価をいただきまして」
「ホント頑張ってるよ、お前は。……俺とは大違いだ」
ふーっ、とため息をついて、目を伏せる。
ミスをして落ち込んでるのは本当らしい。
「珍しいじゃない、あんたがそんな顔するの。
……ここ二、三年調子良すぎたんじゃないの? 鼻っ柱へし折ってもらえてちょうど良かったじゃん」
冗談交じりでそう言ったのに、祥裄はそうかもな、と真面目に頷いた。
「お前と付き合ってる間、調子良すぎたんだ。最近そう思う」
ぐいっとビールを煽った。視線は伏せたまま、手がグラスを弄ぶ。
「多分お前にいろいろ助けられてたんだろうな。それが当たり前になって、忘れてしまってただけで。本当感謝してるよ」
「……ちょっと、振った女に感謝なんかしてどうするのよ」
「調子悪くなって気付いたんだよ。お前を振るなんてもったいないことしたかな、って」
今更何を言い出すんだろう。そんな話になるとは思わなかった。
「あのね、そんなの落ち込んでる時の感傷よ。あんたには絵里ちゃんがいるでしょ」
「わかってるよ、そんなこと」
また無言が流れた。気まずい沈黙をごまかすようにグラスに口をつける。
取り分けて皿を渡して、しばらくの間無言で食べる。
何を話していいのか、お互いに迷っているような気がした。
「……今度、カフェの内装やるんだろ?」
先に沈黙を破ったのは祥裄だった。
「さすがやり手の営業、話を聞きつけるのが早いね」
「たまたま小川さんから聞いたんだよ。良かったじゃん。ずっとやりたがってたもんな」
「ふふ、ありがと。まあちょっと、最近頑張ってるという評価をいただきまして」
「ホント頑張ってるよ、お前は。……俺とは大違いだ」
ふーっ、とため息をついて、目を伏せる。
ミスをして落ち込んでるのは本当らしい。
「珍しいじゃない、あんたがそんな顔するの。
……ここ二、三年調子良すぎたんじゃないの? 鼻っ柱へし折ってもらえてちょうど良かったじゃん」
冗談交じりでそう言ったのに、祥裄はそうかもな、と真面目に頷いた。
「お前と付き合ってる間、調子良すぎたんだ。最近そう思う」
ぐいっとビールを煽った。視線は伏せたまま、手がグラスを弄ぶ。
「多分お前にいろいろ助けられてたんだろうな。それが当たり前になって、忘れてしまってただけで。本当感謝してるよ」
「……ちょっと、振った女に感謝なんかしてどうするのよ」
「調子悪くなって気付いたんだよ。お前を振るなんてもったいないことしたかな、って」
今更何を言い出すんだろう。そんな話になるとは思わなかった。
「あのね、そんなの落ち込んでる時の感傷よ。あんたには絵里ちゃんがいるでしょ」
「わかってるよ、そんなこと」
また無言が流れた。気まずい沈黙をごまかすようにグラスに口をつける。