年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
大逆転の恋愛ゲーム
1
◇
……ぎり、……たぎり……。
「片桐!」
鋭く私の名前を呼ぶ声が耳に飛び込んできて、びくっとして顔をあげる。
「話聞いてたか、お前。ぼけーっとするな」
「すみません」
これから私が内装を担当するカフェのオーナー夫妻との、初めての顔合わせだった。
気を引き締めていかなきゃいけないのに、思考が違うところへ飛んでいた。
「どうした、体調でも悪いのか?」
「いえ、少し考え込んでただけです。大丈夫です」
ならいいけど、と平山さんがまた、資料に目を落とした。いけない、せっかく抜擢してもらったのに、こんなのじゃがっかりさせてしまう。
そろそろ時間だ、という頃に、ミーティングルームのドアがノックされた。受付の女の子に案内されて入ってきたのは、穏やかそうな雰囲気の、三十代後半くらいのご夫婦。
「お待ちしておりました。今回内装のコーディネートを担当させていただきます、片桐です」
立ち上がって名刺を差し出す。隣で平山さんも私に倣って挨拶を済ませた。
あくまで担当は私だけど、平山さんもアドバイザーとしてついてくれて、初回だけ打ち合わせも同席してくれることになった。
……ぎり、……たぎり……。
「片桐!」
鋭く私の名前を呼ぶ声が耳に飛び込んできて、びくっとして顔をあげる。
「話聞いてたか、お前。ぼけーっとするな」
「すみません」
これから私が内装を担当するカフェのオーナー夫妻との、初めての顔合わせだった。
気を引き締めていかなきゃいけないのに、思考が違うところへ飛んでいた。
「どうした、体調でも悪いのか?」
「いえ、少し考え込んでただけです。大丈夫です」
ならいいけど、と平山さんがまた、資料に目を落とした。いけない、せっかく抜擢してもらったのに、こんなのじゃがっかりさせてしまう。
そろそろ時間だ、という頃に、ミーティングルームのドアがノックされた。受付の女の子に案内されて入ってきたのは、穏やかそうな雰囲気の、三十代後半くらいのご夫婦。
「お待ちしておりました。今回内装のコーディネートを担当させていただきます、片桐です」
立ち上がって名刺を差し出す。隣で平山さんも私に倣って挨拶を済ませた。
あくまで担当は私だけど、平山さんもアドバイザーとしてついてくれて、初回だけ打ち合わせも同席してくれることになった。