年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
戻って来た大輔くんは手に何かを握りしめていた。
椅子に座ったままその手を見ていた私の後ろに立って、両手を私の肩の上から前に回した。
シャラリ、と金属が触れ合う音がして、何かが私の胸元に当たる。
「お誕生日おめでとうございます、沙羽さん」
「え……?」
大輔くんが手早く金具を止めて、驚いて鏡を見ている私に微笑む。
「あんまり高価なものではないですけど。よかったら、使ってください」
天使の羽をかたどったシルバーのネックレスだった。
華奢なデザインが控えめに胸元を彩って、光る。
「なんで、知って……」
「最初にカルテ記入してもらったでしょ? 誕生日当日なんて断られるかと思ったけど、空いてる、って言われてほっとしました。実を言うと、タケさんに先に帰ってもらったのは、わざとです」
照れくさそうに少し俯いて、ネックレスに目をやった。
「それ見た時、すごく沙羽さんに似合いそうだなあ、って思ったんですよ。つけてほしいなあ、って。……想像通りです。やっぱり似合う」
その顔に浮かぶ笑顔はとろけそうなくらい優しくて、まるで私を恋人を見るような眼差しで見ていた。
また私は思い上がりそうになって、自分を戒めるように、ぐ、と手を握り込む。
椅子に座ったままその手を見ていた私の後ろに立って、両手を私の肩の上から前に回した。
シャラリ、と金属が触れ合う音がして、何かが私の胸元に当たる。
「お誕生日おめでとうございます、沙羽さん」
「え……?」
大輔くんが手早く金具を止めて、驚いて鏡を見ている私に微笑む。
「あんまり高価なものではないですけど。よかったら、使ってください」
天使の羽をかたどったシルバーのネックレスだった。
華奢なデザインが控えめに胸元を彩って、光る。
「なんで、知って……」
「最初にカルテ記入してもらったでしょ? 誕生日当日なんて断られるかと思ったけど、空いてる、って言われてほっとしました。実を言うと、タケさんに先に帰ってもらったのは、わざとです」
照れくさそうに少し俯いて、ネックレスに目をやった。
「それ見た時、すごく沙羽さんに似合いそうだなあ、って思ったんですよ。つけてほしいなあ、って。……想像通りです。やっぱり似合う」
その顔に浮かぶ笑顔はとろけそうなくらい優しくて、まるで私を恋人を見るような眼差しで見ていた。
また私は思い上がりそうになって、自分を戒めるように、ぐ、と手を握り込む。