年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「ありがと、すごく嬉しい。……でも、ネックレスなんて貰ってもちょっと困るかな」
「……気に入りませんでした?」
私の言葉に、彼の笑顔が翳る。
「じゃなくて。女の子にあんまり気軽にアクセサリーなんてあげない方がいいよ。勘違いしちゃうから。彼女だってあんまりいい気持ちしないと思うし」
「……俺、彼女なんていませんけど」
今度は怪訝そうな顔をして私の顔を見る。
「彼女がいるなんて、そんなこと言いましたっけ? そんなふうに思われること、全くした覚えないんですけど」
途中からなんだか言い方が怒っていて、つられて私も口調が荒くなる。
「だって自分じゃ飲まないハーブティ、家に置いてあったじゃない。あの子が置いてったんじゃないの? あの咲ちゃん、って子」
「咲さんはそんな上品なもの飲みません。置いてったのはエミさんです」
「でも、すごく仲良さそうだったじゃない。ベタベタくっつかれても平気そうにしてたしさ」
「咲さんは酔っ払うと誰にでもああなんですよ。特に俺は構いやすいというか、からかいやすいらしくてよく遊ばれますけど、もう慣れました」
「飲み潰れたあの子を家に泊まらせたりするんじゃないの?」
「そういうこともありますけど、先輩としてです。咲さんのことを女として見るとか、そんなの絶対有り得ない。一緒のベッドで寝たってなにもしない自信あります」
「私にだってなにもしなかったじゃない。それに……私のこと、一回間違えて咲さん、って呼んだでしょ?」
「いつ?」
「鍵を会社に忘れて泊めてもらった時。髪を乾かしながら、絶対咲さん、って言った」