年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
あー、とバツが悪そうに下を向いて、ぐしゃぐしゃと頭をかいた。


「確かに呼んだのかもしれません。あの時、その……沙羽さんを咲さんだと思い込もうとしてたんです。
これは咲さんだ、目の前にいるのは咲さんだ、ってずっと心の中で唱えてたので」

「なんで?」

「なんで、って……沙羽さんがあんなカッコで出てくるからでしょ?」


大輔くんがはあっとため息をつく。

あんなカッコ、って、着替えを用意してくれたのは大輔くんじゃん。

「俺ダメなんですよ、ああいうの、なんかもう、うわーってなって……」

うわーってなんだうわーって。なんか失礼だぞ、おい。

私が睨むと、大輔くんは顔を背けて、気まずげに口元を手で覆った。


「だから、可愛すぎたんですよ、あの時の沙羽さん! 理性飛びそうでヤバかったんですってば!

なにもしないなんてあんだけはっきり宣言しておいて、襲うわけにいかないじゃないですか!」


予想していなかった言葉にきょとんとした私を、大輔くんが上目遣いでちらっとうかがう。目元だけじゃなくて耳も微かに赤く染まっていた。
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