年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
顔に張り付いた髪を払おうとすると、ネックレスに引っかかった。

祥裄から二十九才の誕生日にもらった、一粒ダイヤのネックレス。あの時は、来年は指輪かな、なんて笑って言っていたはずなのに。
ほどこうとしても絡みついた髪はなかなか取れなくて、力任せにぶちっと引き千切った。今まで枝毛になるのが怖くて、そんなこと絶対しなかったのに。



突然何もかもがどうでも良くなって、雨の中暗闇に座り込んだ。


バッカみたい。全部全部バカみたい。


一人で大丈夫なわけないじゃない。
祥裄のことがどうでもいいわけないじゃない。
冷静だったわけ、ないよ……。



雨に紛れて涙がどんどんこぼれ落ちていく。

肩を震わせて、大きな声をあげて私は泣いた。
我慢することなんてない。どうせ誰も見ていない、私のカッコ悪い弱い姿なんか見ていないんだから、今のうちに泣いちゃえばいい。

そう自分に言い聞かせながら盛大に泣いていると、突然体に降り注ぐ雨が何かに遮られた。
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