年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
あの後、祥裄は大輔くんと同じように、返事は急がないから考えてくれ、と言ったきり、その話はすぱっとやめてしまった。
ケーキ食おうぜ、とフォークを勝手に取り出してきて、ケーキを二人でホールのまま崩して食べた後、手を出してきたりは一切せずにすぐに帰っていった。

部屋に一人残されて、私はなんだか夢の中にいるような、現実味のない感覚に捕らわれる。

瑞香の言う通り大逆転もいいところ、二人から同日に告白されるなんて嘘みたいで。
やっぱりこれは夢で、目覚めたらあの給湯室の場面に戻っているんじゃないか、と大真面目に心配したけれど、次の朝目覚めたら、テーブルの上にきちんとワインの空き瓶とケーキの箱が残されていた。どうやら夢ではなかったらしい。

今日は休みだったのをいいことに、一日中ベッドの中でゴロゴロして、大輔くんと祥裄と、二人の顔を交互に思い浮かべた。


どちらかを選ぶのか、それともどちらも選ばないのか。

私はどちらが好きなのか、どちらといるほうが幸せなのか……。


年齢とか仕事とか、他のこともいろいろ考えて、なにも決められずパンクしそうになった私は、またもや瑞香に助けを求めることにした。
思い立ったのはもう夜で、さすがに呼び出すのは申し訳ないと電話にしたのに、おもしろそうだからウチへ来て話せ、と逆に瑞香の家に呼びつけられた。もちろん手土産のビールとつまみも要求される。
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