年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
祥裄も、会社で会っても態度はまったく変えずにいてくれる。
ただしそれは会社の中だけで、何度もご飯に誘われたし、シェリーで鉢合わせることもあった。
それでも私は、外で二人きりで会うのが怖くて、偶然に会う他は全て断った。
祥裄と二人で会ったりすれば、そのまま自分の気持ちとは無関係に、流されるように元の関係に戻ってしまいそうで怖かった。
また連絡します、の言葉通り、大輔くんからは以前と同じように食事のお誘いの連絡がきた。
私から誘いはしないけれど、大輔くんから誘われた時は断ることもしなかった。
大輔くんの態度も告白してくれる前と変わらず、返事を急がせるようなこともしない。ともすれば告白したことを忘れてしまったんじゃないかと思ってしまうくらいだけど、ふとした時に見せる表情に、前とは違う感情が見え隠れする。
いつも通りの柔らかな人懐こさに、切なげに私を見つめる目が加わる時があって、そうやって見られると私は途端に動けなくなった。私も好きだよと口走りたくなって、その度に躊躇う気持ちが私の口を閉ざしてしまう。
現実と自分の感情と、両方に板挟みになって、どんどんどちらを選べばいいのかわからなくなっていく。
選択肢を私が握っていることで、逆に途方に暮れてしまって、もういっそ誰かが命令してくれればいいのに、と、贅沢にも思ったりした。
そうやって曖昧な態度を保ったまま、時間だけが過ぎていく。
気がつけば返事を出せないまま、一ヶ月が過ぎていた。