年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「……もしかして今の、プロポーズ?」
「そういうことになるのかな」
付き合っているときはずっと望んでいた言葉だけど、こんなにあっさりと話の流れで言われると思っていなかった。しかもこの曖昧な状況で。
言葉が続かない私に祥裄が大真面目な顔で言う。
「仕事も落ち着いたみたいだし、そろそろ返事をきかせて欲しいんだけど。いくら急がないって言っても、もう一ヶ月経つんだぞ? どうせあのボウヤにもお預けくらわせてんだろ」
確かにもう、はっきりさせないといけないんだろう、とは思っていた。でも考えれば考えるだけ、わからなくなる。
「お前は何を迷ってるわけ?」
片手で頬杖をつきながら、祥裄が体を傾けて私を見た。
「状況を見たら選ぶべきは俺だろ」
「何を偉そうなこと言ってんのよ。元はと言えばあんたが浮気したから悪いのよ」
「それはその通りだ。だから一生かけて償う、って言ってるんだよ。もう他を向いたりしない、お前だけ幸せにしてやる」
「……」
「それともなんだ、あのボウヤにも結婚しようとでも言われたか?」
「言われてない」
「そりゃそうだろうな。いくつだよあいつ、まだ遊びたい盛りだろ?」
「二十二」
「なんだ、まだ学生みたいなもんじゃねえか。将来なんてなんにも考えてないだろ」
祥裄の言うことはもっともだ。そんなのわざわざ繰り返されなくても知っている。