年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「お前もさ、そんなガキの言うこと、いちいち間に受けるなよ。好きだなんて勢いで言ってるだけだよ。早めに手放してやったほうが、あのボウヤのためでもあるだろ」
何一つ言い返せなかった。
大輔くんが勢いで言ってるだけ、とは思わないけど、どれだけ真剣に先のことまで考えているか、と問えば、きっと深い答えは返ってこないだろう。
黙り込む私に、祥裄は畳み掛けてくる。
「冷静になる時間は十分あっただろ。俺はもう待てない。あいつを待たせるのもはっきり言えばかわいそうだ。このままズルズル曖昧なまま、どっちとも選ばない、なんて馬鹿げてる」
「……」
「沙羽」
祥裄がすっと手を伸ばして私の髪に触れた。大輔くんに切ってもらってから少しだけ伸びて、肩上で軽く揺れている。
「もうちょっとだけ。待って」
往生際悪く、まだ引き伸ばそうとする私に、祥裄は呆れたようなため息をついてから、わかった、と小さく頷いた。