年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
そもそもこの結婚自体、親の期待に応えたい、という気持ちが大きく作用して選んだもの。
ならば結婚式の一日くらい、親の望み通り過ごしてもいいだろう。
そう考え直して、またガラにもなく結婚情報誌を買い込んで、手始めに式場の見学にでも行ってみるか、と仕事終わりに時間を合わせてやってきたものの。


「めんどくさそうよね、式の準備なんて」


焼き菓子を食べ終わってため息をつく私に、祥裄がまたしらけた目を向ける。

「どうせならもっと楽しめよ」

「だってもう三十よ? 可愛いドレスとか興味ないし。それより見た? あの見積りの金額。あれだけでももったいないって思うのに、きっとこれからまた上乗せされてくのよ」

「金ならそれなりにあるんだから気にすんなよ。やるなら思い切りやろうぜ」

お互いキャリアを積んで、そこそこ貯金もある。
特に祥裄は営業成績がよくて給料もいいくせに、あんまり遊ぶ暇がないからって、私よりも貯め込んでいるらしい。つくづく優良物件だな、と思う。
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