年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「随分と余裕だな、お前」
「は?」
「俺と絵里が二人で会って、なんにも思わないわけ?」
ぐいぐいにじり寄ってきて、私の手を掴んでソファの上で押し倒す。
「それは俺への信頼か? それとも興味のなさの現れか?」
「信頼よ。あんたが自分で、もうフラフラしないって言ったんでしょ」
「ならいいけど」
ぐいっと私の顎を掴んで、固定する。顔をギリギリまで近づけて、囁いた。
「俺はお前しか見ないって約束した。
……お前も、そうだよな?」
どこか余裕のない様子で、私を見つめる。
「お前も俺を、選んだんだよな?」
「そうよ。なに言ってんの? 今更」
当たり前でしょ、と笑った私を見て、ようやく祥裄にいつもの余裕の笑顔が戻った。
そのままキスされて、手が服の中に忍び込んできた。私もその手に応えて、彼のシャツのボタンに手をかける。
祥裄に与えられる感覚に集中しようと、目を閉じた。
その日の祥裄の手は、私の中に残る大輔くんの影を追い出すかのように、荒々しかった。