年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
「いやー、もしかしたらさ、本気で祥裄くんを捨ててわんこに流れるんじゃないかって、内心ヒヤヒヤしてたのよ。あんた心は乙女だから」
一貫して祥裄を支持していた瑞香は、結婚することになった、と報告した時も大げさに褒めてくれた。
よくやった、きちんと冷静な判断を下せたのね、と。
でも私が祥裄を選んだのは、冷静に判断したからでもなんでもない。当の大輔くんがそう促してくれたからだ。
「それで、ちゃんと式と披露宴もすることになったから。多分受付か何か頼むことになると思うけど」
「任せなさい、なんでもやってあげる。どこでやるか、もう決めたの?」
それからしばらく、どこそこの式場はご飯が美味しかったとか、どこそこのホテルはプランナーの対応が最悪だったとか、今まで出席してきた結婚式を思い浮かべながら式場談義で盛り上がる。
でも結局、二人とも結婚式に対してはあまり夢を持っていないタイプなので、まあどこでやっても一緒よね、という結論に落ち着いた。
「結婚することが決まってからさ、なんかいろいろめんどくさいなあ、って思っちゃって。贅沢な考え方なんだろうけど」
魚料理が運ばれて来る前に、瑞香はすでに白ワインを頼んでいた。おいおい、ちょっと飲み過ぎじゃないか? と心の中で密かにつっこむ。