年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
ご満悦の瑞香と二人、街を歩きながら、そろそろ帰ろうか、と話していた時。
聞きなれた声が前方から聞こえたような気がした。
反射的にそちらに顔を向けると、平日で人通りもそう多くないせいで、その声の持ち主をすぐに見つけてしまった。
見つけた途端に、不自然な速さで俯く。
相手に見つかりたくない、と思うのと同時に、その姿を見たくない、と思った。
近づきたくないけれど、このまま歩いていけばすれ違う。どうしよう、と周りを見渡したけど、どこにも隠れられそうなところなんてない。
「ちょっと、どうしたの?」
いきなり立ち止まって視線をさまよわせている私を、前を歩いていた瑞香が不審な目で振り返る。
「沙羽」
「……沙羽さん?」
瑞香が私を呼ぶ声に続いて、柔らかな響きが耳に飛び込んできた。
――見つかってしまった。
瑞香がまた、驚いて後ろを振り向く。見つかってしまったものは仕方がないと、私はできる限りの笑顔を浮かべた。
大輔くんが、こちらを見ている。その隣には、女の子がいた。
この子、確かアシスタントの子。葉月ちゃん、って言ったっけ……。
聞きなれた声が前方から聞こえたような気がした。
反射的にそちらに顔を向けると、平日で人通りもそう多くないせいで、その声の持ち主をすぐに見つけてしまった。
見つけた途端に、不自然な速さで俯く。
相手に見つかりたくない、と思うのと同時に、その姿を見たくない、と思った。
近づきたくないけれど、このまま歩いていけばすれ違う。どうしよう、と周りを見渡したけど、どこにも隠れられそうなところなんてない。
「ちょっと、どうしたの?」
いきなり立ち止まって視線をさまよわせている私を、前を歩いていた瑞香が不審な目で振り返る。
「沙羽」
「……沙羽さん?」
瑞香が私を呼ぶ声に続いて、柔らかな響きが耳に飛び込んできた。
――見つかってしまった。
瑞香がまた、驚いて後ろを振り向く。見つかってしまったものは仕方がないと、私はできる限りの笑顔を浮かべた。
大輔くんが、こちらを見ている。その隣には、女の子がいた。
この子、確かアシスタントの子。葉月ちゃん、って言ったっけ……。