年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
そんなの改めて言われなくてもちゃんとわかってる。
またじわっと涙ぐみそうになって、慌てて俯いた。その様子を見て、瑞香が困ったようにぽん、と私の頭に手を乗せる。
「久しぶりだわ、あんたのそんな顔見るの。……高校の時に、部活の先輩に告白する前に彼女がいることがわかって失恋確定した時以来?」
ぽんぽんと私の頭を撫でながら、瑞香が続ける。
「あのドライなあんたがねえ。そんなになっちゃうなんて。
……ちょっと見くびってたのかもねえ、私。あんたの気持ち」
私だって、自分がこんなになっちゃうなんて、思ってもみなかった。祥裄と絵里ちゃんが目の前で去っていくのを見せつけられても、ちゃんと平気なフリができたのに。
大輔くんが関わると、途端に私の強がりがぼろぼろと崩れていく。
なんだか我慢するのがバカらしくなってきた。こらえることを放棄した途端に涙が溢れてきて、勝手にこぼれ落ちていく。なんで泣いてるんだろう、私、と、頭のどこかで冷静な私が自分を嘲った。
私が泣き止むまで、瑞香はずっと黙って、頭を撫で続けていてくれた。