年下ワンコとオオカミ男~後悔しない、恋のために~
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◇
小川さんに誘われて食事に行ったあと、飲み足りなくて久しぶりにシェリーにふらりと立ち寄ると、なんだか賑やかなグループの先客がいた。指定席に座りながらそちらを何気なく眺めると、見覚えのある顔が飛び込んでくる。
咲さん、と呼ばれていた大輔くんの先輩の女の子だった。
ということはあれは大輔くんのお店のスタッフさん達だろうか。葉月ちゃんはいないみたいだけど、他の人たちの顔は、あんまり覚えていない。
マズイ、と咄嗟に思った。
まだ大輔くんと平気な顔で話せる自信がない。
今のところ大輔くんの顔は見当たらないけれど、もしかしたらトイレにでもいってるのかもしれないし、だったら顔を合わせないうちに帰りたい。
来て早々席を立とうとする私に、カウンターの中のマスターが言った。
「大輔ならもういないよ。武尊と一緒に先に帰った」
ジントニックを差し出されて、私は浮かせた腰を渋々元に戻した。
「さっきまでここに座ってたんだけど。ちょうど沙羽ちゃんと入れ替わりみたいなタイミングで帰ってったよ」
「そう、ですか」
マスターには、祥裄と結婚することになったとは伝えてあるけど、大輔くんに告白されたなんて一言も話してない。そういう話を祥裄とここでした時も、大輔くんの名前なんて一回も出してないのに、なんで私が気にしているのが大輔くんだってわかるんだろう。
小川さんに誘われて食事に行ったあと、飲み足りなくて久しぶりにシェリーにふらりと立ち寄ると、なんだか賑やかなグループの先客がいた。指定席に座りながらそちらを何気なく眺めると、見覚えのある顔が飛び込んでくる。
咲さん、と呼ばれていた大輔くんの先輩の女の子だった。
ということはあれは大輔くんのお店のスタッフさん達だろうか。葉月ちゃんはいないみたいだけど、他の人たちの顔は、あんまり覚えていない。
マズイ、と咄嗟に思った。
まだ大輔くんと平気な顔で話せる自信がない。
今のところ大輔くんの顔は見当たらないけれど、もしかしたらトイレにでもいってるのかもしれないし、だったら顔を合わせないうちに帰りたい。
来て早々席を立とうとする私に、カウンターの中のマスターが言った。
「大輔ならもういないよ。武尊と一緒に先に帰った」
ジントニックを差し出されて、私は浮かせた腰を渋々元に戻した。
「さっきまでここに座ってたんだけど。ちょうど沙羽ちゃんと入れ替わりみたいなタイミングで帰ってったよ」
「そう、ですか」
マスターには、祥裄と結婚することになったとは伝えてあるけど、大輔くんに告白されたなんて一言も話してない。そういう話を祥裄とここでした時も、大輔くんの名前なんて一回も出してないのに、なんで私が気にしているのが大輔くんだってわかるんだろう。